2020.
10.08水
茨城のキャンプ場から配信!茨城の食と農とその楽しみ方。 STAND TOKYO
日常も、非日常の楽しみ方も変化した昨今、改めて暮らし方を見つめ直した人も少なくないかもしれません。10月のSTAND TOKYOのテーマは「食と農」。農やアウトドアに携わる二人が、パワフルに語るその楽しみ方をお届けします。
概要
▼東京 The CAMPus 井本喜久さん
小規模農家の支援を軸に、オンラインで農スクールを開催するThe CAMPusの井本喜久さん。if design project第二期にもメンターとしてご参加頂きました。
都市に住むビジネスパーソンと全国の農村をつなぎ、農業のノウハウや「農的暮らし」の魅力を発信する井本さんに、農業や地方との関わりの持ち方や、キャンプを楽しむための大切なキーワードを伺います。
▼茨城 NPO法人海の大学 光又新二さん
NPO法人海の大学の事務局長として、様々なイベント・アクティビティの提供や、大洗サンビーチキャンプ場の運営を行う光又新二さん。
コロナ禍に大洗を見つめて気づいた事や、以前から変わらない思い。今、更なる注目を集めているキャンプの楽しみ方と大洗の魅力をお話頂きました。
ダイジェスト
レポート
▼NPO法人海の大学 光又新二さんの活動
光又さんは、モンゴルやアフリカをはじめ、世界中でキャンプを張った経験の持ち主。その体験を活かし、現在はNPO法人海の大学で、大洗サンビーチキャンプ場の運営を行なっています。
この日も、海の大学がある大洗町から、焚き火をしながら配信に参加して頂きました。
◆大洗の楽しみ方
「まず大洗という場所が魅力的」と光又さんが語る町、大洗。元々海のレジャーで賑わう土地ですが、2020年は新型コロナウィルスの感染拡大を受け人の流れに変化が生じます。
しかし光又さんは、この変化をマイナスには捉えていないそう。その時間を通して生まれた試みに、これからの大洗の姿を見る事が出来たと感じていると語ります。
光又さんが例にあげたのは、海辺に公募で集まったデザインのTシャツを飾る『Tシャツアート展』や、ビーチに椅子やテーブルを設置し、本を読む時間を楽しむ『砂浜図書館』、地元の酒蔵で焚き火を囲んで読書をする『焚き火と本』などの催し。
大規模なイベントやレジャーが中止になる一方で、自身が、いいな、かっこいいライフスタイルだなと思う「生活の一部」を楽しむイベントが多く企画された事を嬉しく思っているのだ話します。
◆大洗サンビーチキャンプ場
ビギナーに優しい場所
普段よりキャンプ場の運営に関わる光又さん。このところキャンパーの層の広がりを強く感じています。特にコロナ渦をきっかけにキャンプに挑戦する人が増えたと考えているそう。
「『キャンプ道具も持っていないし、何もわからないけれど、外で子供を走らせたいんです』という問い合わせに、そんなの余裕だよ!全部貸してあげるからそのままおいで、と案内する事が何度もありました」
サンビーチキャンプ場では、普段から手ぶらキャンプセット用意している他、電源やお湯の出る設備もあるそう。日頃から「ビギナーにも優しいキャンプ場」をめざしていた事で、今回もたくさんの初心者キャンパーを応援する事が出来たと言います。今後も更なるカルチャーが広がる場となりそうです。
食のアクティビティ
体験可能なアクティビティのひとつが、漁業体験。地元の漁師さんと共に船に乗って、海へ出る事が出来る体験は子供たちが大喜びするのだとか。もちろん獲った魚は、キャンプ場に戻ったあとで調理して食べる事が出来ます。
「一緒に魚を獲って、帰って来てそれを喰う!それがもう最高!」と笑顔で教えてくれました。
漁業も農業も身近にあり、食の体験との距離が近い事も大洗の魅力の一つのようです。
▼The CAMPus 井本喜久さんの活動
井本さんが主宰するThe CAMPusは、インターネット上の農学校。世界を「農」でオモシロくするをキーワードに、農的くらしのオモシロさを学ぶコミュニティやスクール運営、都市と農村を繋ぐイベントの企画を行なっています。
◆The CAMPus
オンライン農スクール:
「世界で一番ミシュランの星を持っている男」と呼ばれる、複数の星付きのレストランと取引を行なうハーブ農家など、全国で活躍する「変態的」な農家75名が講師となる農学校。生き方や農業・商売のノウハウを学ぶ事が出来ます。
LIFE FARMING CAMP(長野県 野沢温泉村) :
「生き方を耕そう」というコンセプトのもとプロデュースされた、農的暮らしを体験する自給自足キャンプ。参加者は農業を軸に野沢温泉村での暮らしに触れます。
農的暮らしは、何も古民家に住まなくとも、今すぐキャンプで体験することが出来る、と井本さん。ただし、キーワードは、”誰が語るか”、”誰とやるか”が重要であると付け加えました。
「どんなにシチュエーションが良くても、施設が立派でもそれだけではダメで、そこで何を語るのかが大事。仲間たちと語って、笑って、気づいたら朝だったみたいな体験が良い」
◆著書 ビジネスパーソンの新・兼業農家論
「農家にはビジネスパーソンが向いてる」と井本さん。
これまでの兼業農家のイメージは”農業のみで生計をたてるのが難しく、生活のため別の仕事を兼業している”というものでした。しかし今ではPC一台あれば、どんな場所でも仕事をする事が出来る時代を迎え、その捉え方は大きく変わろうとしています。
井本さんは、作物を育てる農業は時間がかかるため、都市で暮らす人がすぐに農家になる事は難しいとしつつも、ビジネスパーソンとして生きてきた経験を活かし、農的暮らしをすることはすぐにでも出来ると話します。
「農村にいる農家さんと友達になって、作物を仕入れて加工し、商品を都市で売る。これなら最短3ヶ月で実行出来るはず…」
これらは、ビジネスパーソンとしてして働いた経験があるからこそ出来る事。井本さんの語る新しい兼業農家とは自分の”今まで”を否定せずポジティブに活かして暮らす人の事なのだとか。
Q 暮らし方を変えてみたいと思ったら
井本さん:
いきなり移住したり農家になる訳では無く、その入口にはキャンプやアクティビティがある。全部その入口をきっかけに、地域を知る事から行動が始まるんじゃないかなと思います。
どこに行っても、その地域の物語があって、その地域のオモシロい人たちがいる。あれこれ考えるより、その場所に行って、オモシロいヤツらとオモシロい会話をしていたら、自分の暮らしも変わってゆくはずです。
光又さん:
自分には「小さじ1の勇気」と呼んでいる事があって、肉にひと匙だけでも塩をかければ、味が全く変わるように、ほんの少しだけ行動を変えてみる事をいつも意識しています。
人生を変えてみたいなという時、例えばいつも左に曲っている道を今日は右に曲ってみるだとか、少し行動を変えてみる。ほんのちょっとだけ変えてみるというのを365日やり続けると、理想のライフスタイルに近づいているな、以前と自分は変わったなと思う瞬間が出てくるんですよね。
すぐに変わるのは無理だから、ほんの少しでいい。すぐに世界一周の旅に出られる人はいないけれど、隣町への旅行ならすぐに行けますから。
最後に
明るい井本さんと光又さんによるトークを聴いていると、ついついこちらも笑顔になってしまいました。お二人とも共通していたのは「小さな一歩を踏み出そう」といったメッセージだったように思います。移住ってテーマが大きすぎて尻込みしてしまうと思いますが、今すぐできることを見つけてみてはいかがでしょうか?