2020.

8.20

2021.06.01 up date
REPORT

仕掛け人から関わり方を学ぶ! 広島×静岡×茨城! STAND TOKYO

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日時
2020年08月20日 (木) 20:00〜22:00


8月のSTAND TOKYOは、移住人気が高まっている広島県と静岡県からゲスト2名をお招きしました!
移住人気ランキングで上位にランクインしている両県で、お二人はどのように、そしてどんな観点を大切にして関係人口のプロジェクトを進めてきたのでしょうか?

概要

▼広島ゲスト:尾崎香苗さん
ひろしま里山ウェーブの活動を経て、未来を旅する編集会議 編集長として活動されています。地域や移住に関する取り組みを通して、尾崎さんが得てきた気づきや、今後地域で関係性を作っていくうえで鍵となることは何か、お話しいただきました。

▼静岡ゲスト:森田陸さん
静岡鉄道に勤務する森田さんは、パラレルワーカーとして地域に関する取り組みを行っています。静岡移住計画は2020年にみんなの移住計画ネットワークに新しく参画したばかりのチームです。他地域の移住計画とは異なり、民間企業と連携して働き方や土地の魅力を発信しています。現在の体制の経緯や、今後の動きについてお話しいただきました。

▼日時:2020年08月20日 (木) 20:00〜22:00

ダイジェスト

当日の様子を短い動画にまとめました。ぜひ、ご覧ください。

 

レポート

◆広島県での取り組み

ひろしま里山ウェーブ

ひろしま里山ウェーブ」は、首都圏の人々と広島の里山をつなぐ事業です。毎年30名以上の参加者が広島の山や島で2泊3日を過ごし、まちづくりの先輩であるメンター陣から、地域との関わり方を学びます。
実は「移住者を増やすこと」を前提とした事業ではないのですが、地域とのディープな関わりを通して、移住を決意する参加者の方もいらっしゃるそうです。

未来を旅する編集会議

未来を旅する編集会議」は、里山ウェーブの取り組みで出会った「地域で頑張る」人たち、「地域と関わっている仕事人」である尾崎さんたち、そして「東京で地域と関わっている」人たちで、2年ほど前に立ち上がったチームです。
里山ウェーブに関わっていない人にも事業を知ってもらうことを目的に、参加者の融資で「未来を旅するHIROSHIMA」を出版しました。

分野や拠点、バックグラウンドの異なるメンバーや地域の人たちなど、いろんな人が混じり合って、ひとつのカタチを作り上げていくことで、メディアへの露出も増えていったそうです。

関係人口づくりの上で鍵となるのは…

尾崎さんが活動を通して感じているのは、地域コーディネーターをはじめとした、地域の受け入れ側の人たちの重要性です。地域コーディネーター自身がどんどん前向きにチャンレンジすることで、外部の人と繋がりあい、良い化学反応が起きる。そうして魅力を増した地域のキーパーソンが、さらに外から人を引き寄せるのかもしれません。

◆静岡県での取り組み

そもそも現代の「移住」とは?

もともと「移住」は「移り住む」ことを意味する言葉です。しかし、最近はノマドワーカーや、単純に地域に気持ちを移すというような関わり方も、広い意味で「移住」と呼ばれるようになってきました。こうした新しい「移住」を促進するうえで、大切なのは以下の「4つの要素+1」

4つの要素+1


特に難しいのは最後の+1である家族の理解とのこと。これらがクリアされれば「移住」の持続可能性が上がってくるのではないかと森田さんは考えます。

静岡鉄道では

静岡移住計画が連携している民間企業「静岡鉄道」は、これら4要素とどのように関わっているのでしょうか。

①滞在拠点
静岡鉄道の不動産部門は、遊休不動産を保有していたり住まいの斡旋が可能。住む場所の提供に直接的に関わることができます。
②仕事
自社の社員がまず7000人、随時求人を出していたり、運営している商業施設内でも2000人くらいのアルバイトを雇用。また、グループ内の広告代理店からフリーランスの人に仕事を発注するような関わり方もできる為、「仕事」を実際に提供する上では、大きな強みを持ちます。
③コミュニティと④プロジェクト
これからさらに求められてくる部分として、進めていきたいところとのこと。

実は静岡鉄道の本業である鉄道事業は全体の1%。それ以外に不動産・スーパー・車など、複数の強い柱を持っています。それぞれの事業が総合的な後押しをすることで、より移住のハードルを下げることができるかもしれません。

目指しているのは「ハブ&スポーク」

静岡移住計画が静岡におけるハブの役割を果たすことによって、今まで繋がっていなかった人をつなげていきたいと語る森田さん。首都圏から、ではなく、地方都市間のハブ&スポーク型のネットワーク構築を目指していきたいそうです。

移住は、継続性が何よりも大切。今後、移住した後に継続してウォッチできる体制づくりが必要になってくるともお話しされていました。

Q.今後の取り組みや、考えていることはありますか?

森田さん:「包括連携協定」がもたらすもの

市の職員の意向と市全体の意向が一致していないというような問題は、どの地域でも見られる壁となっています。そうした際に「包括連携協定」というお墨付きがあれば、市の職員も動きやすくなるのでは、とのこと。
しかし市がこうした取り組みを行うと、補助金だけゲットして、その後の活動の継続が難しくなってしまう場合もあるそうです…。
大切なのは、いかにその活動を民間ベースで自立して回していくのか、という部分。地域での取り組みに対して、最初の後押しをする部分では若干の金銭的支援は必要ですが、民間ベースで自立・回転できるようにならなければ、同じことの繰り返しになってしまいます。

尾崎さん:ハブの役割の重要性と、「やりたい」から広がる可能性

地域でハブになる人はやはり大事で、協力隊のような地域コーディネーターが、地域としっかり仲良くしているからこそ、そこに人を送り込むことができるそう。
地域に興味を持つ人の中には、ばりばり働きたい人もいれば、自分のやりたいこと・可能性を試したい等、幅広い背景を持つ人々がおり、それぞれのニーズがマッチすることで移住に至ります。地域の課題解決を目指す「課題解決型」の関わり方はもちろん大切ですが、こうした「やりたいことをやる」という、いわゆる「自己実現型」の人が取り組みを継続した結果、課題の解決につながることもあります。計画にはまっていないけれども、想定していなかった結果につながるなど、一律の物差しで測れないからこその面白さがありますね。

 

最後に

これから移住を検討している人はもちろん、外からの人を受け入れる地域側の方にも、参考になるポイントが盛り沢山でしたね。地域での活動を自立させ、継続させていく上でも、何よりもまず自分自身がその場所を好きになり、楽しむこと。それが結果、さらに外の人を引き付けることにつながるのではないかと感じました。今回のSTANDが、関係人口からさらなる関係人口に広がるような、よい循環を生み出すヒントになりましたら幸いです!